煮干しと焼き乾し

煮て干すから煮干しと言われるが・・・その材料がさまざまある。
☆鰯→下記に種類を書いておきます。魚種とサイズ鮮度により変わる。腸で苦みがでる事があるので、頭と腹をとる人が多いが・・
☆あじ→強いけどあっさりしたダシがでます。旨味はつよい。これも個人的にはソバにつかいたい時がある。
☆さんま→非常に特殊だが、ちょっと青臭く感じるときがあります。つゆに甘さをだします。
☆さば→ソバのつゆにはこれはほしい

これは焼いてから干す焼干しが多いはずです
☆(あご)飛び魚→一部の地域とくに西日本でお雑煮などにつかう
☆はぜ→これは仙台あたりでお雑煮のダシに必ずつかう年末に一部の地区でご要望される事があるので、お客様の声を聞いておいてください。
☆かじか→これでつくったひっつみは旨い!!
☆鮎→これは高知県の一部と中部の一部、そして九州の一部でよくつかう
☆はや→東北地方の山でよく使ったといわれるあくまでも小魚をつかったりしている。寒ハヤの甘露煮とか焼き干しとかって・・
☆ワカサギ→独特の香りがあり甘いダシがでます。あっさり目。

このうち通常いわれるのが、鰯(カタクチいわし)の煮干しを普通煮干しといっている


「カタクチイワシ」は分類学上の和名で、地方ではいろいろな名前で呼ばれています。
東北では「ぶと」関東では「背黒」「しこ」「ひしこ」「ひこ」など、関西、四国、九州では「たれくち」「えたれ」「ほおたれ」「こしなが」など・・イリコ(炒り子)、じゃこ(雑魚)、だしじゃこ(出汁雑魚)といういわれ方もしている


種類と特長

煮干は原料となる鰯の種類により、それぞれ特長のある煮干になります。各種類とも、大きいサイズは脂がつよいのでダシが強くでます。さらに鮮度をみてみると、腹の崩れているのはダメ。さらにキズの多いものはその規格により選別をします。
最近いわれている酸化防止剤についても、注意をしておく事。

・片口煮干(かたくちにぼし)(背黒)

片口鰯を原料にした煮干です。一番生産量が多い一般的なタイプです。背の部分が白く仕上がる煮干は白口煮干(しろくちにぼし)、 背の部分が青く仕上がる煮干は青口煮干(あおくちにぼし)と呼ばれています。瀬戸内海沿岸、長崎、伊勢などの内海でとれる 片口鰯は白口に仕上がります。千葉、茨城の太平洋沿岸や山口、京都の日本海沿岸でとれる片口鰯は青色に仕上がります。 白口煮干は青口煮干に比べ、甘みがあるだしがでます。11月に九十九里でとれる煮干は、外海産の煮干では例外的に、 白口煮干に仕上がります。 

・平子煮干(ひらごにぼし)

真鰯を原料にした煮干です。近年、真鰯が不漁ですので平子煮干の生産量も減っています。片口鰯の煮干に比べ、 だしはあっさりしていてます。

・うるめ煮干
うるめ鰯を原料にした煮干です。生産量が最も少ない煮干で、長崎が主産地です。うるめ煮干からはくせのない独特の 甘さをもっただしがでます。
・かえり煮干
片口鰯の稚魚を原料にした煮干です。稚魚の煮干なので、脂肪が少なく、魚臭くないあっさりとした上品な だしがとれます。価格的には最も高い煮干です。代表的な産地である瀬戸内のかえり煮干は、内海の特性から 充分に乾燥されても柔らかく仕上がりますので、食べる煮干として人気があります。讃岐うどんのだしには 欠かせません。
・田作り(かえり煮干し)  作り方レシピ

田作(たつくり、たづくり)は、カタクチイワシの幼魚の乾燥品、およびそれを調理した料理。 別名、ごまめ(五万米)。乾燥させた小魚を乾煎りし、醤油、砂糖、ミリンで煮詰めた液でからめてつくります。特にお正月のおせち料理、特に関東風の祝い肴三種として欠かせないもののひとつ。田畑の高級肥料としていわしが使われていた事から豊作を願って食べられたときいている。別名のごまめ(五万米)はイワシを肥料とすると米が豊作となったことから豊作祈願という意味で食べられた。もう一つ聞く事はいわしは数が多いので、子孫繁栄という人もいたが、これは数の子のほうだと思う。

製造方法

煮干はその名前が示すように、鰯を煮て干せば出来上がります。

・洗浄

水揚げされた鰯は、その鮮度を保つために、砕氷にとともに煮干加工場まで運ばれます。 運ばれてきた鰯は、先ず、真水で洗浄されます。この段階では鰯の70%程度は水分です。

 

・煮熟

洗浄された鰯を90℃から95℃に熱せられた約3%の塩水で煮ます。煮ることにより、鰯が もっている酵素の働きをとめて腐敗を防ぎ、タンパク質を凝固させます。

 

・乾燥
煮熟された鰯は乾燥され、水分が15%から18%になれば出来上がりです。昔は天日で 乾燥させていたのですが、現在では温風乾燥機や冷風乾燥機も使用されています。昔ながらの 天日乾燥が煮干にとって必ずしも最も良い方法ではありません。4月から9月の直射日光は 紫外線が強すぎるので、煮干に悪影響を及ぼします。秋の彼岸から春の彼岸までの日差しは煮干 にとってちょうど良いとされています。また、冷風乾燥の方が温風乾燥より煮干の酸化の程度が 低く仕上がります。


酸化と添加物   (酸化すると茶・黄色や赤くなるので注意!!)

煮干の原料となる鰯にはEPAやDHAが沢山含まれていますが、それらの物質は高度不飽和脂肪酸と呼ばれる酸化しやすい物質です。煮干の酸化が進行するとEPAやDHAの機能は失われ、生臭みが出てくる等、風味も損なわれてしまいます。
時々でてくる煮干しで、お腹の部分が赤い煮干しがでる事があります。これは生前食べたエサで赤い色のえびやプランクトンを食べた時にでる事があります。商品そのものは悪くないがなんか気持ち悪いという方もいますが、十分に説明をしてからお渡ししてください。


・酸化と油焼け

煮干は鰯を煮て乾燥させるだけで製造されるので、製造工程の乾燥中に酸化が相当進みます(鰹節は 煮て燻しをかけながら乾燥させるので、鰹節の表面にタール分が付着し酸化を防ぎます)。温風乾燥機を使用すると 酸化は促進します。冷風乾燥機を使用すれば酸化が緩慢なのですが、乾燥時間とコストがかかります。 酸化が相当進行すると油焼けと呼ばれている現象が見られます。具体的には煮干の表面が黄ばみだし赤くなっていきます。この状態になって、酸化の 度合いが目に見えてきます。低温で保管されていると、煮干の酸化とそれに伴う油焼けの進行は緩慢になりますので、 ご家庭では煮干を冷凍庫に保管されることをお勧めします。

 

・添加物

煮干にとって大敵の酸化を防ぐため、多くの煮干に酸化防止剤が添加されています。BHAとビタミンEが酸化防止剤として使用されています。

☆だしのとり方   時間を上手につかうと美味しくとれる

一般的には、前日後片付けが終わったあとに、鍋に煮干しをいれておき、一晩おいておく。そして次の日煮出して、出しをとるのが一般的ではないかと思ってます。頭と腹をとって、左右二つに二枚おろしのようにするとよく出しがでるという方もいらっしゃいます。そのままいれておいてもいい。煮出しの方法では、やはり出しの出が弱い(上品という方もあります)と感じます。

・水だし

前日からいれておき水だけで、出しをとる方法。翌日は煮る前にとりだす。

・煮だし

水に煮干しをいれて、お湯にして10分程煮出す方法。

・折衷(上記の方法)

前日に水に煮干しをいれておき、翌日お湯にして10分程煮出す煮干しを取り出す方がいいという方、そのまま入れておき、具材と一緒に食べるという方もいらっしゃいます。別に決まりはありませんが、とりわけしておいた方が食べやすい事は事実です。